大阪の水路
2005年 06月 08日
日本における水路といえば東京(江戸)が有名ではあるが、江戸の水路は江戸時代になってから掘削されたもの。大阪の水路は、それに先立つ時代から存在しているのでから、こちらが先輩である。ところが現在では、東京以上(以下か?)にその存在意義が忘れ去られている。
せっかくある水路を使わない手はない。そう考えるのは世の東西を問わない。大阪では水都OSAKAという団体などが主体となって、いろいろなイベントを仕掛けているようだ。
が、まずは大阪の水路ネットワークを知らねば! ということで「大大阪クルーズ」に参加する。大大阪クルーズとは、ダイビルにオープンした喫茶店「大大阪」をプロデュースするアート&クラフトのYさんが船長となって運航している小型ボートのクルーズのことで、中ノ島の堂島川から東横堀川を南下し道頓堀川、そして木津川を北上してスタート地点の中ノ島に帰ってくる約1時間半の旅だ。
当日、夕方まで名古屋で仕事があったカナルマニアは、新幹線に飛び乗って大阪へ。在阪の友人Yさんとその友人2名、計3名と共に堂島川にかかる水晶橋でYさんを待った。
指定された集合時刻を少し回ったとき、川の向こうからライトを照射しながらボートがやってきた。Yさんの操縦するRobbia号だ。
桟橋から乗船し、早速出航する。
まず堂島川から東横堀川にかけては、東京と同じく高架道路が川面を覆い、圧迫された感じだ。河岸も高い堤防に阻まれ、外の様子を知る由もない。
しかし道頓堀川に入ると様相は一変する。特に「ひっかけ橋」とも呼ばれる戎橋周囲は、最近になって川にかなり近い高さに遊歩道が設置され、かつてのドブ川的なイメージから完全に脱却した。このクルーズは夜なので、ネオンサインに照らされた道頓堀川を下から見上げるという、これまででは考えられないレアな体験ができるのだ。
そこから先、なんばに完成したのが湊町リバープレイス。ここにも大きな桟橋があり、「なにわ探検クルーズ」の発着点になっている。
クルーズは、道頓堀川と尻無川、そして木津川が交差する四差路を右折し、大阪ドームを左手にみながら北上する。このあたりは周囲が暗いが、再び中ノ島を見るあたり、堂島川と土佐堀川の分岐点には大きなはしけなどが係留されており、まさに『泥の河』を髣髴とさせる風景である。ちなみに対岸は大阪中央卸売市場で、築地と同じく、おいしいすし屋さんなどが軒を並べているそうだ。
水晶橋に戻ったあとも、Yさんの計らいで大阪城などの見学もさせてもらえたわたしたち。それにしてもYさん、観光ガイドでもないのに水辺に何があるのか、知り尽くしている。彼女は勉強したわけではなく、自分で興味を持って調査しているうちに、自然に頭に入ったのだそうだ。丸暗記ではない、有機的な解説は、彼女が体で感じた大阪の水辺そのものなのである。
大大阪クルーズは現在、毎週金曜日の19:00と20:30の2回出航している。1艘12000円。ちょっと高いような気はするが、4人で使えば1人3000円だ。別にうまくもない居酒屋でも1人3000円などすぐ、そして道頓堀の夜景を考えれば、この料金は至極妥当だと思う。