イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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ボーターも納税者?

久々の更新になります。

仕事では、アジア某国のガイドブック編集作業が終わり、
次のステップに進むべく、画策しているところです。

詳細は、追々、このブログでも紹介させていただくかもしれませんが、
中でもどうしても避けて通れないのが「お金」の話でした。

そこで、ふっと思い出したのがの税金の話題です。

雑誌の記事か自著かどこかで、かつて、
「ボーターに住民税はかからない」
と書いた記憶があります。

住民税がない、というのは、私もどこかで聞きかじったはずなのですが、
今回、改めてナローボートガイドのブラウン淳子に聞いてみました。

すると、話はそんなに簡単ではなかった・・・・・(笑)


まず、ボーターとは、広義にはナローボートに乗っている人すべてですが、
ここでは、自分のボートを持っている「オーナー」で、
しかも普段の生活もボートの上、という人を想定します。

しかし、それらボーターがどの「ライセンス」、
許可証を持っているかで、税制も異なります。

まず、ボーターには大きく2つのライセンスがあります。
ひとつは、コンテニュアス・クルーザーズContinuous Cruisers、
直訳すれば「継続的に航行している人」。

いまひとつが、レジデンシャル・ボーターズResidential Boaters、
「居住しているボーター」。


「コンティニュアス」の方々は、
ビジター・ムーアリング(来訪者用短期係留所)にボートを停めつつ、
移動を繰り返していきます。
ビジター・ムーアリングはほとんどの場所で無料ですが、
係留期間が24時間とか、72時間とか、決められているので、
それを過ぎたらどこかほかの場所へ移動する必要があります。

一方「レジデンシャル」はというと、
彼らはマリーナとか、レジデンシャル・ムーアリング(居住者用係留所)を確保している、
すなわち係留にお金を支払っていますので、
気が向いた時だけクルーズすればよいだけです。
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このボートなど、陸と「接続」されていて、動く気なし(笑)、
というか、これでもボートなんですかね?

そこで税金はというと、
「コンティニュアス」は非課税、「レジデンシャル」は課税、ということになります。

もちろん、これは住民税のこと、
イギリスではカウンシル・タックスCouncil Taxと呼ばれますが、
その話です。

話はそれますが、もちろんイギリスにもほかの税制はいくつもあって、
何かしらの所得があれば所得税、
また買物をすれば、20%と高額な付加価値税(VAT=消費税)を支払うのは、
ボーターでも誰でも同じです。

さらに脱線すると、イギリスはサラリーマンも個人事業者も、
もちろん法人(会社など)も、みんな各々が確定申告しますので、
サラリーマンでも納税意識は日本よりかなり強い、と言われていますね。


話を元に戻すと、レジデンシャルのボーターは、
地面に住んでいる人々と同じように、住民税を支払うわけですが、
ボートは、不動産として「一番低い評価額」なので、
住民税も最低でいいんだそうです。

「あれ?」
と思った方は、日本でも納税意識の高い方かもしれません(笑)

日本の住民税は、所得に対する割合でその金額が決まりますから、
住んでいる家や土地、エリアとは関係ありません。

四畳半アパートに暮らしていても、高額所得者であれば住民税は高くなり、
豪邸暮らしでも所得が少なければ安く、場合によっては非課税になります。

一方、イギリスの住民税は、住んでいる家、エリアの評価で決まるのだそうです。
値段の高い家や場所に住んでいる人のほうが税額が高い、
これは日本の固定資産税に似ていますよね。

住民税に関するイギリス政府の説明はここにありますが、
参考までに、運河都市でも知られるバーミンガムの住民税表がこちら
c0027849_14211653.jpg

域内がさらに3つのエリアに分かれており,
それぞれA~Hの8つの「バンド」、税額帯が設定されています。
ナローボートは一番安い「A」ということになります。


ところで、「コンテニュアス」のライセンス・ホルダーの中には、
春~秋のオンシーズンは運河をクルーズし、
冬場はボートを置いて、フランスやスペインの別荘で暮らす、
という優雅な生活を送っている方々も少なくないようです。

ほとんどは年金生活者で、
年金のほか、陸の上に持っていた家を貸して家賃を得ながら、
ボートと別荘の往復生活を楽しんでいるのだとか。

そんな層を狙って、冬場だけボートを預かる、というビジネスもあります。
オーナーが不在の数ヶ月間、ボートを係留できるという契約をマリーナと結ぶのです。

すると、冬季はボートがマリーナにあるわけですから、
レジデンシャルと同じように住民税かかかりそうですが、
イギリスでは住民税が課税されるのが、居住期間3ヶ月以上となっているそうで、
それ以内なら非居住者として住民税はかかりません。

なんか裏技っぽいですよね。


ただ、最近問題になっているのは、
「コンティニュアス」に登録していながら、
ビジター・ムーアリングに期限を越えて長居したり、
河岸を独占したりするボーターが少なくないことです。
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特にロンドンでは、市内の職場に通っている、
すなわち「居住」しているにもかかわらず、
住民税逃れのために「コンティニュアス」で登録しているボーターが多くいるようです。
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さらに、彼らの中には、最近流行のAirbnbなどでボートを貸し、
収入を得ようとしている輩も少なくないとか。

困ったものですが、日本でもイギリスでも、
はたまた陸でも水でも、
なんとかして税金を逃れようとするEvader(脱税者)はなくならないんでしょうね。


そんなわけで、私も正しい申告と納税を心がけるようにしたいものです。
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by narrowboat | 2017-05-25 12:28 | 英国運河とナローボートの旅 | Comments(0)