イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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コッツウォルズ:新たなリンクの予感

 コッツウォルズは、世界で一番美しい村々なんだそうだ。

 「なんだそうだ」というのは私が行ったことがないからで、本や雑誌からの伝聞でしかないのだが、イギリス+カントリーサイド、という方程式の解はコッツォルズしかないと思っている日本人はたくさんいらっしゃる。そして次にこう来る。
「運河の旅? それならコッツォルズですね?」
 そういう方々には申し訳ないのだが、残念ながらコッツォルズに運河はない。いや正確は、コッツォルズの中を通る運河はない。

 コッツォルズとは大まかに、ストラトフォード・アポン・エイボン、オックスフォード、そしてバースの3つの街を結ぶ三角形の中のエリアを指す。三角形の背骨にあたる「コッツウォルド丘陵」の裾野に広がる場所が、俗に言う“コッツウォルズ”。「ハチミツ色の茅葺き屋根の家」や「石造りの橋と小川」など日本人がイメージするコッツウォルズの村々がこのエリアに点在しているのだが、運河にしか興味がない私は写真や観光ガイドブックでしか知らない。
 ただ、この三角形の頂点にあたるストラトフォード・アポン・エイボン、オックスフォード、バースの3つの町には運河や河川があり、ナローボートも楽しめる。「正確には」と前述したのは、そういう意味だ。

 しかし現在、コッツォルズの中心を横断する運河を開通させるべく修復作業が続けられている。その名も「コッツォルド運河」
 コッツウォルド運河は、現在テムズ川上流の航行限界点になっているレッチレイドから西に約60キロ、サイレンセスター、ストラウドなどコッツウォルズではおなじみの街を通り、最後はグロスター&シャープネス運河に出る。
 このコッツウォルド運河、もともとレッチレイドからストラウドまでの東部分が「テムズ&サバーン運河」、ストラウドから西の部分が「ストラウドウォーター運河」という2つの運河だった。いったんは閉鎖されたこの2つを合わせて新たに「コッツウォルド運河」としてオープンするらしい。
 これが開通すると、テムズ川を遡ってコッツウォルド運河に入り、コッツウォルズの美しい村を堪能しながらグロスターに出て、バーミンガム方面に抜けることができる。反対にサバーン川を下ってブリストルに向かい、そこからケネット&エイボン運河に入ってロンドン方面に戻ることも可能だ。これまで貧弱だったイギリス南部のネットワークがぐっと充実する。

 コッツウォルド運河からテムズ川、そしてロンドンへ。18世紀、大西洋貿易と運河がリンクしていた時代の水運を詳細に調査されたのがオックスフォード大学留学時代の浩宮様、今の皇太子殿下である。『高速道路としてのテムズ』という殿下の論文からは、当時運搬されていた商品や、ボートマンたちの生活ぶりもよく見えてくる。

 1日も早いオープンが待たれるコッツウォルド運河だが、修復に尽力しているコッツウォルド運河トラストによると、全線開通にはあと10年かかるという。だが、何年かかっても最後にはやり遂げるのがイギリス人、オープンの暁には、自分の手でナローボートを操縦してここをクルーズする計画を私は早くも立てている。


☆発行者 カナルマニアHP
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by narrowboat | 2005-11-18 21:50 | エッセイ | Comments(0)