イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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リフトブリッジとスイングブリッジ:車よりもボートがえらい!

 船を通すたびに橋桁を開閉する橋のことを「可動橋」という。日本では東京の隅田川にかかる勝鬨橋が有名だが、上を通る晴海通りの交通量が増えたのが理由で開閉をやめてしまって、もう久しい。
 一方、イギリスの運河にはまだ可動橋がたくさんあって現役だ。隅田川に比べれば小川みたいなものだから橋の規模も小さいし、ボートの通行量も知れているから生き残っているのだろう。
 イギリスの可動橋には「タテ開き」と「ヨコ開き」がある。タテは「リフトブリッジ」、ヨコは「スイングブリッジ」という。


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 リフトブリッジは、ワニが口を開けるみたいに橋桁をヨイショと待ち上げる橋。冒頭に挙げた勝鬨橋と同じような感じになるが、ロックと同じようにイギリスではすべて手動式。だから、ボートから誰かが橋まで行って操作しなければならない。
 リフトブリッジの持ち上げ方はいろいろあって面白い。いちばん文明的な上げ方は、橋に付いているギアにロックキーを差し込んでグルグル回すタイプ。これはスランゴスレン運河のフロンカサステなどにあった。時間はかかるが、誰でも安全に開閉できる。
 反対にもっとも原始的なリフトブリッジは、欄干のバー(棒)を力で押し下げる、もしくはロープで引っ張るものだ。テコの原理で橋の重さよりも軽い力で操作はできるのだが、押したり引っ張ったりするときの勢いがいる。
 さらに怖いのは、ボートの通過中はバーやロープを必ず抑えていないといけないこと。間違って離しでもしたら、橋桁がボートを直撃する。もっとも、人力でキープするなんてアバウトな仕掛けで橋を上げ下げするんだから、ここの自己責任はでかい。


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 一方のスイングブリッジ、こちらも手動がほとんどだ。スイングブリッジは橋桁が水平に回転するもので、リフトブリッジほど力はいらないのだが、橋が回ってくる分の半径を計算しないと横からボートを直撃してしまう。


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 マンチェスター船舶運河やカレドニアン運河など大きなボートが通過する大きな運河の可動橋はさらに革新的な機械式。「ブリッジキーパー」という係員が橋を操作してくれるので、ボーターは信号に合わせてボートを進めるだけである。
 このような可動橋がある場所だが、橋が開いている間は車や人は渡れない。イギリスではボートが常に優先といううれしい規則があり、待つのは陸の方々である。みんな黙って待っているのは、さすがキュー(列)好きのイギリス人だと感服する。もっとも内心ではイライラしているのかもしれないが。

 日本なら、遊びの船が仕事中の車を待たせるなんて言語道断かもしれないが、遊ぶことが仕事より価値があると考えているイギリスのこと、誰よりもボーターが偉いのである。


☆発行者 カナルマニアHP
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by narrowboat | 2005-11-22 17:57 | エッセイ | Comments(0)