イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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ナローボートのスタイル:お尻がビミョー?

ナローボートを見た日本人は「みんな同じ形ですね」と言うが、実は微妙に違う。長さや色、デザインはもちろんだが、形そのものも1艘1艘異なるのである。

差がいちばん大きく現れるのは「スターン」だ。スターンとは運転台がある船尾のことで、このスタイルでナローボートは3つに分類できる。

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ハイヤーカンパニーでレンタルした場合、ほとんどのボートが「クルーザー・スターン」と呼ばれるスタイルになっている。後部デッキを囲むように転落防止用の手すりが取り付けられているのが特徴で、デッキも広い。操縦する人のほか、4、5人がデッキに集まってきてもスペースに余裕がある。


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これと対照的なのが「トラディショナル(伝統的)・スターン」。その名の通り昔のナローボートのスタイルを踏襲したもので、スターンには操縦者1人分のスペースしかない。


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これら2つを2で割ったようなスタイルが「セミトラディショナル・スターン」で、外見はトラディショナルっぽいのだが、乗ってみると後部キャビンの一部がデッキになっていて、クルーザー・スターンのボートと同じように人が集まることができる。


ハイヤーカンパニーのボートのほとんどがクルーザー・スターンなのは、お客さんがホリディメーカー(観光客)なので、それがメンバーみんなで楽しめるからだろう。

一方、リアルを求めるマイボートのオーナーには昔のボートマン(船頭)を気取りたいのが多いから、トラディショナルを選ぶ傾向がある。トラディショナルの操縦者は常に孤独だが、彼らにはそれがいいらしい。そんなボーターは、ナローボートでさえクルーザー・スターンを見るとプラスチック扱いだ。

今度はバウ(船首)に目を向けてみよう。バウにはスターンほどのはっきりした差はないが、キャビンの前にある前部デッキに巻き取り式のシートを付けているボートがたまにある。晴れの時には巻き上げて、雨が降ったら閉めるという便利グッズなのだが、バウでは風や雨からシートに守ってもらってくつろげるのに、スターンで操縦する人には傘ひとつないというのがナローボートの不思議なところ。


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最後にボートを横から見てみる。すると、前部デッキがほかのボートの2倍以上あり、やけに背が低いボートが時々いることに気づく。このシャコタンみたいなナローボートを「タグ・スタイル」といい、これも伝統的なタグボート(曳航舟)の形を踏襲したものだ(写真右のボート)。タグは、キャビンが小さい代わりに前部デッキの下にも居住スペースが設けられている。

自分のボートを持つなら、やっぱりトラディシナル・スターンで決まり! いや、みんなでビールを飲みながらならクルーザーか・・・・・。
やれやれ、夢を語るのは自由だが、いつになったらマイボートを持てるようになるのやら。



☆発行者 カナルマニアHP
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by narrowboat | 2005-12-09 21:42 | エッセイ | Comments(0)