イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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ボートと犬:寂しい男たちの物語

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「犬は人間の最良の友人だ」
そういってはばからないのがイギリス人である。
狩猟という歴史的な背景もあるのだろうが、犬を飼っているイギリス人は確かに多い。それは、ボーターとて例外ではない。

運河では犬連れのボーターに出会うことは珍しくない。小さなデッキを出たり入ったりして落ち着かないもの、犬専用のライフジャケットを着せられて屋根にちょこんと座っているもの、などなど、ボートで見る犬も百犬百様である。

犬連れのボートは見ていてほほえましくもあるのだが、それが犬1匹にボーター1人という組み合わせだと話は違ってくる。男1人のヤモメ暮らしに犬。なにか事情があるのでは? とヤジ馬根性丸出しで聞いてみたくもなるが、そんなボートが結構多いのだ。

よく見かけるのは、かなり古ぼけたボートで1人の若い男と犬が暮らしているパターンだ。今では死語になってしまったが「ヒッピー」という言葉がふさわしいかもしれない。彼らは、陸の生活に別れを告げ、ボートでの生活を選んだ。犬は、そんな彼らのパートナーなのであろう。

私の仕事のパートナーでもあるブラウン夫妻のナローボートに泊まったときのこと、夫のアンディさんの弟であるティムさんが先客で来ていた。ティムさんは最近、奥さんの浮気が原因で離婚。それで家も子供の親権も失った。奥さんの浮気で夫がこんな目に遭うというのは日本人として解せないが、イギリスの法律だとそうなるらしい。

傷心の彼が転がり込んだのが兄のナローボートなのだが、そこには愛犬もいっしょだった。唯一彼に残されたものが犬だったのだろうか。ティムさん自身はボーターではないのだが、ナローボートと運河をバックに犬を散歩させる彼の姿は、どこか寂しくもあり、逆に絵にもなってしまう。

犬といえば、最近問題になっているのがトゥパスの糞害だ。

犬の糞に悩んでいるのは国を問わない。ブリティッシュ・ウォーターウェイズ(BW)でも、糞害の一掃を大きな目標の一つに掲げているくらいだ。
BWは対策のひとつとして、トゥパスにおける糞の放置に罰金を科すようになった。その代わりに糞専用のゴミ箱も設置され、アメとムチで糞害を撲滅しようというのである。

だが実際、トゥパスで糞の始末をしている人を見たことがない。日本では、糞を入れるためのビニール袋を持って散歩させる人が多くなったが、そんな人もいないし。私自身、トゥパスで糞をフンづけたことは1度や2度でない。

もっとも、トゥパスにはかつてボートを曳いていた馬の糞が染み込んでいる。いまさら犬の糞くらいで騒いでもしかたないか。



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この写真は犬をつなぐためのリング。
Dog Mooring
「犬の係留所」っていう、運河ならではのジョークです。



もっと詳しく知りたい方は『英国運河の旅』をどうぞ!

☆発行者 カナルマニアHP
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by narrowboat | 2005-12-15 19:00 | エッセイ | Comments(0)