ボートの3つ道具:屋根は寝るためだけではありません
2005年 12月 20日
ちょうど真ん中あたりにあるのが浮き輪。これだけは誰が見てもわかるが、あくまで救助用なので水泳には使わないように。
別の場所には、カマのような刃がついた長い柄の棒、それより長くて太い棒、幅50~70センチ、長さ1メートル50センチくらいの板が縦に並んでいる。
カマの刃みたいなのは「ボートフック」という。ボートフックは、岸にあってこちらの手が届かないチェーンやロープをこれで引っ掛けてボートを引き寄せるのが本来の使い方らしい。が、波も流れもない運河ではその用途での出番はあまりなくて、もっぱらボートのじゃまになりそうな草やゴミを取り除くための道具と化している。
いや、ボートフックらしい使い方もできるのかもしれないが、慣れないと自分の身体が引っ張られて落水したりするので、私はロックの扉に草がからまって開けられなくなったときくらいに使うのがせいぜい。
となりの長くて太い棒は「ポール」。これは座礁したときに使うお役立ちアイテム。座礁、というと大げさだが、運河の水深は1メートルとかなので、いくら平底で喫水の浅いナローボートでも底によくひっかかる。そんなときにこの棒でヨイショと押し出して脱出するのだ。
ウィンディングホールでもポールは大活躍。小さな穴の中で船首の方向を変えなければいけないウィンディングホールは、舵が鈍いナローボートの大の苦手。しかし船首や船尾から曲がりたい方向にポールで底を押してやれば簡単にいく。もっとも、ポールであちこち押しまくるのは格好悪いんで、スロットルのティラーの微妙なバランスでクルリとUターンしたいんですけどね、理想としては。
最後の長い板、これは「プランク」という渡し板。イギリスの運河は、ボートを岸にぴったりとつけられる場所ばかりではない。特にムーアリング以外の岸には背の高い草が生い茂っていたり、底が浅かったりして接岸には難儀する。そんなときは無理をせずにボートと岸の間にこのプランクを渡してしまう。
草で思い出したが、トゥパスに生えている草の中には、人をチクリと刺す痛いのがある。「スティンギング・ネトル」という名前なのだが、これに刺されると痛みが3日は引かない。プランクを渡すときに刺されることが多いので、軍手などはめて作業すると安全だ。
個人のボートになると、屋根に花をあしらった金属製のカンが置いてあったりする。昔のボートには水がなかったのでこれに入れていたのだが、もちろん今は飾りでしかない。
ボーターによっては、そのカンの取っ手にモップの柄を入れている。これも誰が最初にやったのかは知らないが、昔のボートマンの流儀なんだそうで。もちろん理由なんかない。
屋根の上はまだまだ賑やかだ。プランターを置いて花壇にしているボーター、聞いてみたら花壇ではなく食用の野菜を植えていたボーターもいた。ただでさえ狭いナローボート、屋根を道具置き場にしておくだけではもったいない、ということだろうか。
もっと詳しく知りたい方は『英国運河の旅』をどうぞ!
☆発行者 カナルマニアHP
今住んでいるところの近く(Dee川)でもナローボートはよく見かけます。中はどんなかなーと思っていたのですが、こちらで内実を拝見したら興味がますますわいてきたので、今度見たら写真を撮ってアップしてみよう。中々乗員さんが姿を見せないので、声をかけて見せてくださーい、っていえないんですわ。
ディー川っていうのと運河ファンはすぐにスランゴスレンを思い出してしまうのですが、お住まいはそこではないのですよね? ボーターは、声をかければ中を見せてくれること多いですよ。自慢したい人がいっぱいなので^^; これからもよろしくお願いします。