イギリスの運河ではナローボートという船を借りて、誰でも免許なしでクルーズが楽しめる。『英国運河の旅』、『イギリス式極楽水上生活』、『イギリス水辺の旅』の著者が具体的な旅のノウハウを伝授します。


by narrowboat
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往復ルートがつまらないなら「リング」がある!

2003年の夏、私は妻といっしょにレスター・リングの旅に出かけた。ノーザンプトン州、グランドユニオン運河のウィードンにあるハイヤーカンパニーでボートを借り、2週間かけて中部イギリスをゆっくりと旅する。

「リング」というのは、運河が輪っかになっているルートのこと。右回り、左回りどちらを選ぶかはボーター次第だが、一筆書きのように運河をクルリと一周してくるものだ。
そんなことをわざわざ書いたのは、リングというのはそれほど多くはないからである。

イギリスの運河のネットワークは全国規模なのだが、その密度は道路には敵わない。水路で行けるルートは限られている。しかも、せいぜい1週間や2週間のクルーズとくれば、出発地からの行動範囲はおのずと限られたものになるのだ。

結果、ハイヤーボートを利用した場合は、ハイヤーカンパニーから目的地まで半分の日程で行き、残りの半分で帰ってくるしかない。同じルートを往復するのである。

日本人にこれを言うと、みんなの顔が一瞬で落胆に変わる。

「同じ場所を2度通るなんてムダ!」

しかし、はたしてそうだろうか。実は人間というものは、あまり後ろを振り返らない動物である。自分の背中に見える風景は正面とはまた違った趣だったりするのだが、それに気がつかない。たとえ同じ場所を通っても、行きと帰りでは全然違う景色が目に飛び込んでくるのだ。

自分自身、それにいっしょにクルーズした日本人は異口同音にそう漏らすのだが、経験したことのない人に説明してもダメみたいだ。

そんな人にご提案したいのがリングである。いくつかの運河を組み合わせて環状線を作ってしまうので、ルートの取り方によって何十通りものリングが存在することになる。だが時間のことを考えると、現実的に設定できるのは10リング程度ということになる。

私たちが旅したレスター・リングというのは2週間が標準所要時間。妻も私も2週間の休みが取れたこともあって、これまでやったことのないリングに挑戦してみることになったのだ。ちなみにレスターというのはイギリス中部の州の名前で、このリングの大部分がレスター州にあることからそういうネーミングになっている。
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ウィードンを出航した私たちはグランドユニオン運河を北上する。半日だけは最終日も同じ運河を通るのだが、ノートン・ジャンクションという運河の交差点からはいよいよリングに突入だ。私たちの選んだのは左回り。日本語と同じく、左回りのことを英語では「反時計回り(アンチ・クロックワイズ)」というが、それを選んだ理由は特にない。

リングの最初は、同じグランドユニオン運河でもレスター・セクションという支線だ。それをトコトコ北上していくと、有名なフォックストンの10段ロック。そしてレスター州の州都レスターに近づく。レスターはインド系住民が多いことでも有名で、ここでは美味いインド料理にありつく。

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さらに船を進めてソアー川に、そしてトレント川との大交差点を左折するとそこはトレント&マージー運河。途中バートン・アポン・トレントでビール博物館を見学し、フラドリー・ジャンクションを左折するとそこがコベントリー運河。ここからはルートの後半で、今度は南下することになる。


コベントリーから、水路はオックスフォード運河に名前を変え、ラグビー発祥の地でも知られるラグビーを通過。そしてブローンストンの大マリーナを横目で見ながら再びグランドユニオン運河に帰ってくる。

最終日の前日、初日に通ったノートン・ジャンクションに私たちは再び到着。地図通り進めば必ず到着すると信じてはいたものの、ジャンクションの看板を見たときは、これまでのクルーズでは味わえなかった達成感を感じていた私だった。



もっと詳しく知りたい方は『英国運河の旅』をどうぞ!

☆発行者 カナルマニアHP
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by narrowboat | 2006-05-02 19:53 | エッセイ | Comments(0)